君に薔薇を贈ろう。
紅や白、そんな平凡で無粋なモノなんかじゃなく。
もっとずっとキレイな---------
それは当に、背筋の凍るような情景だった。
美しく妖艶で、そして爛れた。
虚妄の楽園。
「お前は・・・・・・正気なのか・・・・・・っ!?」
俺の声にさえ、もう虚ろな瞳を向けるだけの。
「誰だい・・・・?僕らの邪魔をするのは・・・・・!?」
「そういう問題じゃないだろう・・・!?お前は」
「また・・・・!僕らを引き裂こうとするのか・・・・!」
怒りの業火を、其の瞳に宿して。
縋り付いた、彼女の膝から身を起こし。
彼は、禍々しい其の腕を、俺に向けた-------
「見てごらん。キレイだね・・・・。キミを照らしてくれているよ」
燃え盛る焔の中、一人の男が黒い塵に変わっていく。
「ねぇ、僕に不可能なことなんか無い。そうだろう?」
橙(オレンジ)の光を受ける、黒く長い髪を梳く。
変わらない柔らかさを保つ、髪も肌も在るのに。
どうして。
「どうして何も言ってくれないの。ねぇ、キミの声も笑顔も、同じように柔らかいだろう!?」
掻き抱く躯に、温もりは無く。
【 モウ、魂ノ無イ人形ニ過ギナインダ 】
「人形?彼女が?今も変わらずに、僕の傍に居てくれるというのに!?」
振り返る、其処にいた男は完全に灰になり、もう何も口にしてはくれない。
「フフッ・・・・・アハ、アハハハ!そんな訳ない、彼女は此処にいる!
アハハハハハッ・・・・・・・!」
キミに、薔薇を贈ろう。
紅や白、そんな平凡で無粋なモノなんかじゃなく。
もっとずっとキレイな、蒼い薔薇を。
僕に出来ないコトなんて無い
この腕が在れば僕には
何でも出来る力が手に入るんだから
蒼いバラだってキミの魂(いのち)だって
造れるんだよ?
Fin.
オリジナルで書くといっつもこんなんばっかや・・・・