「だから拾ってくんなって、いつも言ってるだろっ!?」
玄関に佇む、ずぶ濡れの一人と三匹を見下ろして、俺は米神を押さえつつ叫いていた。
「だってしょうがなかったんだよ。段ボールの中、水浸しだったし」
シャワーから上がってタオル一枚を体に巻いたまま、彼は近くに丸まった一匹を拭いてやる。
それを見た他の二匹が、『僕も僕も〜』という風に擦り寄っていく。
「わーかったって。でも今だけだぞ。うちじゃ飼えないんだから」
彼の濡れたままの髪を乾かしながら、一応、注意を入れる。
俺の家に来る途中、突然雨に降られ。
遮二無二走ってきたのだが、到着する少し前に段ボールを見つけ。
あんまりか細い声で鳴くものだから、ついつい拾ってきてしまった、らしい。
「で、どーすんだ?お前ンとこはペット禁止だろ?マンションだしな」
「・・・・・ん〜、一匹、飼ってくれない?」
「って、人の話聞いてんのか?俺も駄目なんだよ、オヤジが動物アレルギーで」
「え〜、だって〜」
「だって、じゃない。拾ってきたのはお前なんだから、ちゃんと責任持てよ」
床にミルク皿を置いてやると、匂いを嗅ぎ付けた三匹が転がるようにやって来る。
彼はその三匹を見て嬉しそうに笑ったあと、バスタオルにくるまりながらソファに寝ころび。
そのままウトウトし始めたので、俺はでこピンをお見舞いした。
無防備な彼に、少しイタズラをしてみる。
「やー、くすぐったい〜。何コレ・・・?あっ、また付けてる〜!」
くすぐったさに目を覚ました彼は、俺の手を止めようと前髪に手を伸ばす。
指先に触れた冷たい感触に、何かを察したらしく鏡を覗きに行くが。
-------ガッシぃッ
「いーじゃんか。可愛いし」
「ヤだヤだっ。放してよ、こんなのヤだっ」
ピンクの可愛らしいヘアピンは、洗い立ての柔らかい髪に良くなじむ。
「このまま大人しく腕の中にいてくれたら、外(と)ってあげるよ(笑)」
「っむ〜〜〜〜!・・・・わかった、ここにいる。その代わり、飼い主探すの手伝ってくれる?」
「うっ・・・・・・・・。ったく、しょうがねぇなぁー」
何がどう『その代わり』なのか定かじゃないが・・・。
どっちにしろ、俺はこいつのワガママには弱いんだよなぁ・・・。(苦笑)
Fin☆
甘甘目指してただのバカップル↓鳥肌立ちそう・・・(ブルルッ)
受け子が妙に子供っぽいよ・・・退行現象みたいだよ・・・