ここは某辺境の地。そしてそんな誰にも知られてはいけない場所に、それはあった。
そう、まるで秘密結社のように。
独断的仮面英雄(ヒーロー)育成所
ライダーファーム
爽やかな朝の訪れ。ライダーファームの朝は早い。
〜ライダーファーム・年少さん(たんぽぽ)組。
「はーい、みんなぁ。ちゃんとお顔は洗ったかな?」
と、保育士・立花藤兵衛(以下おやっさん)が尋ねた部屋には、総勢22人のライダーがウジャウジャしている。
『せんせぇ、カイザくんがいないのぉ』
「ああ、カイザくんはね、お父さんの後を追って死んじゃった引っ越しちゃったんだよ」
にっこり笑ってそう返せば、ファイズくんは『ふーん』と納得。
「ハーイ、みんな聞いてね。今日から新しい仲間が来ることになりました。仮面ライダー剣(ブレイド)くんとその仲間(お友達)だよ。仲良くしてあげてね☆」
おやっさんのズボンをしっかと握り締め、ブレイドくんはおずおずと前に出た。総勢ライダーくん達は『はぁーい!』と元気よく返事をする。
「じゃあ今からは、みんなが闘ぶ『あくのそしき』のおさらいをしようね。みんな、番組別に分かれてね。あ、ほらほら、仮面ライダーシザースくんはファイズくんじゃなくて龍騎くんと同じ班でしょ?こらぁ、アギトくん!また机の上に立ってっ。ダメって言っただろ?」
バッタバッタと騒がしくも、なんとか5つの班に分類。
「じゃあ、まずクウガくん。クウガくんは誰と闘(あそ)ぶって先生言ってたっけ?」
『えっとぉ・・・・【ぐろんぎ】!』
「わぁすごい!よく覚えてたねぇ。次はアギトくん達だよ。ギルスくんは覚えてるかな?」
『・・・・・・・・・アンノウン。』
「(・・・・)そうだったね、ちゃんとはっきり言えてすごいね。こぉ〜ら、リュウガくん!ファムちゃんいじめちゃだめだろ?リュウガくんは覚えてるのかな?」
『えぇ〜?オレが答えるのぉ?えっとぉ・・・・わかんなぁい!』
「ちゃんと覚えておかなきゃ。龍騎くんと同じライダー班の子達は、この13人で闘(あそ)ぶんだよ。最後の一人になるまでだからね。わかったかな?」
『はぁーい!』
「じゃあ、ファイズくん達はどう?デルタくん、わかる?」
『うん!【おりゅふぇにょく】と闘ぶんだよ☆』
『ちがうよっ!【おるへのく】だよ』
「う〜ん、ファイズくんもちょっと違うかな。【オルフェノク】って言い難いけど、頑張って覚えようね☆」
『うん☆』
「それじゃあ、ブレイドくん達は解るかな?まだ教えてあげないから、解らなくても・・・」
『【あんでっど】だろ?それくらい知ってる。なんたって【やとわれらいだー】なんだからっ』
『ギャレンくんすごぉい☆ボクぜんぜん知らなかったよ〜(尊敬)』
「ホントだねぇ。先生も昨日知ったばっかりだったよ。ブレイドくんは物知りな仲間(おともだち)がいて良かったねvv」
『・・・・うん///(照)』
「じゃあ、みんな。おさらいはここまで。今からはお外で元気いっぱい闘(あそ)んできましょーね。先生は他の組の子の所に行ってくるから、何かあったらすぐ一条先生を呼ぶんだよ」
『ぅわぁーい☆』
〜ライダーファーム・年中(ドラゴン)組
「おーし、授業始めるぞ〜」
おやっさんが引き戸を開けると、中にいた5人のライダー達が慌てて机へと向かう。
『おやっさん、ライダー真、今日来ないんですか?』
「ああ、真はな、余りにも変身シーン・見た目がリアルすぎたから・・・っというか、ぶっちゃけた話がグロすぎたから序章で終わちゃった引っ越しちゃったんだ」
ZOの軽い質問に、おやっさんは真摯な表情で答える。だがそれもすぐにいつもの剽軽(ひょうきん)な表情に消される。
「さ、今日は昨日やった変身ポーズに、決めゼリフと決めポーズを合わせて通しで練習だ。その後、バイク訓練もやるからな」
『マジで?オレ、バイク苦手なんよ〜(^〜^;)』
『バイクも、だろ(笑)Jはいろんな面で苦手なもの多いじゃんか』
『そーいうお前はどーなんだよ、ブラックぅ?シャドームーンと番組同じなのに、随分と出来が違うじゃん?』
『って、シャドームーンと比べんなよっ(泣)アイツは特別だって!な、そう思わねぇ?』
そうしてブラックは後ろに座る自分の進化形、ブラック−RX(以下RX)を見やる。
『そうだねぇ。シャインムーンはなんでも出来るもんねぇ』
ほんわ〜と言ってのけたRXに、斜め前からツッコミが入る。
『誰がシャインムーンだ!私の名前はシャドームーンだ!いい加減、間違えるなっ』
『あ、ごめんね。サンシャイムーン』
『シャドームーンだ!すっかり忘れとるじゃないか!(怒)』
立ち上がって講義するシャドームーンを宥めつつ、おやっさんはパンパンと手を打つ。
「こらこら、喧嘩するんじゃない。授業に入る・・・・ん?連絡用ベルが・・・バイク組からか。仕方ないな、先生はちょっとバイク組の方に行ってくるから、その間は各自予習・復習しておくように」
『今日こそ決着を付けるぞ、ブラック−RX!覚悟!』
『やだなぁ、シャイニングムーン。だからボクはやらないってば。って聞いてる?』
『問答無用!とぁぁぁぁぁぁっ!』
「こら!勝手に闘っちゃいかん!特にシャドームーン、これ以上建物を壊したら減点だからなっ」
『っう・・・・・・・』
『リボルケインー』
一瞬の隙をつき、RXはシャドームーンをスパッと両断。
〜ライダーファーム・年長(バイク)組
「おーい!どうした、何かあったのか?!」
おやっさんは、ライダー達が特訓をしているであろう林の中へ入っていく。
『あ、おやっさん!丁度良いところに』
『スーパー1、これはどういうことだ?なんでこんな物がここに・・・・』
ぐるりと円を書いて集まる6人ライダーの中心には、果物やらお菓子やらが山積みになっている。
『それが、自分達がここに来たときからあった物で・・・・。なぁ、ストロンガー?』
『ああ。一瞬、おやっさんが仕掛けた罠かとも思ったんスけど・・・・・』
「ふぅむ、私は知らんぞ。考えられるのは、今闘いを展開しているXの敵、GODくらいか・・・・」
と、突然!辺りに響き渡るエンジン音。それは次第に近づいてくる・・・・
-------バゥンッ!
おやっさんの後方から現れたバイクは、空高く飛び上がり、7人の上空を軽々と越えていく。それは着地と同時にドリフトし、華麗な動きで停止した。
「おぉ、サイクロン!ということは、お前は・・・!」
『『『『『一号先パイ!!』』』』』
颯爽とバイクから降りてきたのは、笑顔がまぶしい一号ライダー・藤岡 弘!
「はっはっは、おやっさん、お久しぶりです」
「一号、元気にしてたか?二号はどうしたんだ?」
「隼人はまだ休暇中ですよ。志郎も一緒です。ははぁ、彼らがこれから活躍する新ライダーなんですね?」
『あ、は、初めまして!Xさんの後にライダーやらせてもらいます、アマゾンです』
「おお、君がか。うん、なかなか良いじゃないか。あ、ライダーキックはこうだよ、こう」
シュッと空中に蹴りを出した藤岡を見て、6人ライダーはそれを真似る。『なかなかいいぞ』と笑いを滲ませた藤岡に、全員は感涙。
『あ、あの一号先パイにご教授して頂けるなんて、ライダーやってて良かったな、ZX!』
『ああ、そうだなスカイライダー!オレ、もういつでも命捨てられるよ!』
「ところで一号。あのお菓子の山なんだが、何だか解るか?」
「ああ、あれはXライダーからの差し入れなんですよ。さっき僕が、彼の代わりに運んできたんです」
「そ、そうなのか?だが、何もあんな所に置かなくても・・・・ι」
「いやぁ、ちょっと彼らの反応をみたくなりましてね。すぐにおやっさんを呼んでしまうのは、少し頂けないですね」
『おい聞いたか、アマゾン。アドバイスもらちゃったよ・・・!』
『俺、もう何も思い残すことない・・・・!』
「あのお菓子やなんかは、年少組のライダー達にでもあげてください。じゃ、僕はこれで。以後の活躍、期待してます!」
号泣しながら感動する6人ライダーを後目に、藤岡 弘は再びサイクロンで去っていくのであった!
〜ライダーファーム・年少さん(たんぽぽ)組
「はぁ〜い、みんなぁ。いっぱい闘んだかな?おやつの時間だよ☆」
外に向かって声を掛ければ、キャーキャーとライダーくん達は戻ってくる。
「ちゃんと手を洗って、うがいも忘れないでね。ほらインペラーくーん!もう戻ってこないと、おやつなくなっちゃうよー。『いらない』じゃないだろ、お腹鳴ってるじゃない。あ、タイガくん!お服で手を拭いちゃダメだよっ。あ〜!G3−Xくんはお水触っちゃだめ!ショートしちゃうから!」
そんなてんてこ舞いな状況下で、突然、
『ぅあ〜んっ!!(泣)』
と切り裂くような嗚咽が響く。見ると、泣き叫ぶブレイドくんを守るように立ちはだかるギャレンくんの周りを、ガイくん・ファイズくん・王蛇くんが取り囲んでいる。
『ブレイドくんに、なにすんだよ!』
『そっちがガイくんのばしょ、とったのがわるいんだろ!なんだよ、ブレイドくんなんて頭がぴゅーんってなってるくせにっ』
『ふぇ、えっ、あーん!』
『なくなよぉ、ブレイドくん。ファイズくんだって、へんな顔してるじゃないかっ!【かいちゅうでんとぉ】みたい!』
『なんやとぉ?!人の顔にケチをつけるんやったら、オノレの顔見てから言わへんかい!ええ、こら!』
「こらこらぁ、武器振り回さないの!喧嘩はダメって言っただろ?どうしたの、何があったの?」
『ブレイドくんが、僕がいっつもすわってるばしょ、とったの!それをファイズくんと王蛇くんが、とりかえしてくれようとしたんだよ』
「そうなんだ。でもね、ガイくん。ブレイドくんは今日初めてここに来たから、ガイくんがどこに座ってるのか、知らなかったんだよ。だから取ったんじゃなくて、ちょっと間違えちゃっただけなんだ。ねえ、ブレイドくん」
『ひっくぅ、ぇ、ぇっく・・・・うん。ごめんね・・・・』
「ほら、ね?だからガイくん達も、謝らなきゃね」
『・・・うん。ごめん』
『ごめんね』
『すんまへん』
ようやくブレイドくんに笑顔が戻る。おやっさんはライダーくん達を席に着かせると、お菓子と果物がが山盛りのトレーを机に置いていく。
おやっさんは、このライダーくん達の複眼がキラキラ輝く瞬間(通称:暴走モード)が好きだった。
「じゃあみんな、手を合わせて、いただきます」
『 『 『 いたぁだきますっ☆ 』 』 』
『うわぁ、でっかい!見てよ、せんせい、このイチゴ!』
「うわぁホントだ!よかったね、ベルデくんイチゴ好きだもんね。いっぱい食べてね」
『あ〜、それボクのぉ!かえしてよぉ!ゾルダくん〜!』
『やぁだぁ!ぼくがとったんだもん、はなしてよぉっ』
「ほらほら。まだたくさんあるんだからね。はい、ライアくん」
『せんせぇは食べへんの?これめっちゃウマいで?』
「先生はいいよ。みんなの食べるとろこ見てるだけで、お腹いっぱいだよ(笑)」
『ふぅん。つまらん人生送っとるんやね。そないなコトしとるから損しとるっちゅーことが、わからへんのやろか』
「・・・・ア、アハ、アハハハッ・・・^-^ (このクソガキがぁ・・・・・!)」
『・・・・・・・・・サイガ』(チョコを渡す)
『謝謝。オーガ、謝謝』
「(う〜ん、やっぱりこの二人は仲が良いんだよなぁ。とりあえずこの中国語が似非(えせ)っぽい・・・)」
『ギャレンくん、さっきはありがとぉ☆』
『きにすんなって。オレがいつでもたすけてやるから』
『うん☆』
「(あぁ、微笑ましい光景だなぁ。これが真っ直ぐ友情に向かってくれればいいけど・・・)」
『おい、ナイト。ウェハース取ってくれ』
『ああ。ほらよ、ギルス。・・・・どうした、オーディン。食べないのか?』
『いや、遠慮しておく。・・・・どうも調子が悪くてな』
「・・・・・?! (こ、こいつらは、いつも思うが本当に年少組なのか・・・・・?;;)」
ライダーくん達は、和気あいあいとおやつタイムをエンジョイ中。
若干の疑問が残るものの、ライダー達はすくすく成長。
Xライダーが死闘を繰り広げていようとも、今日も平和なライダーファーム。
地球の平和を守るため、今日も何処かでライダーファーム。
こうして英雄(ヒーロー)を育んでいく、ちょっと愉快(壊?怪?)なライダーファーム・・・・
Fin...
ちょっぴりSDライダーズのネタを使わせて貰っちゃいました・・・パクリでご免なさい↓
えっと、このお話は、『仮面ライダー』『仮面ライダーV3』が放送終了し、『ライダーX』
がテレビで活躍している時代として書かれています。だからXライダーのみが
死闘を繰り返しているワケで、平成ライダーくん達が幼児なのですよ。中間
ライダーくん達は、さしずめ小学校中・高学年〜中学新一年ってとこらへんでしょうか。
ってゆーか、ぶっちゃけこんなライダー嫌や。正義の英雄が先パイ
ライダー見て、号泣で感動で悦ってるなんて想像したない。(いや、してるし)